インドネシア、オムニバス法に反対するデモが過激化
反対デモが暴徒化、全国に拡大
いつもながら、一般市民は大迷惑
ジャカルタでは、デモ隊が、大統領宮殿、サリナデパート周辺、ホテルインドネシア前ロータリーなどで暴れているようです。
だいたい、いつもこの周辺は、何かあると、デモ隊が集結する、中心地です。
今回は、すでに、市民の主要交通手段のトランス、ジャカルタのバス停が放火されたよううです。
デモは、ジャカルタだけでなく、既に全国各地の主要都市に飛び火しているのが問題です
デモ隊の主体は、既に、学生やチンピラに移っているので、コロナ感染拡大下のうっ憤ばらしになってきているのではないでしょうか。
本当に、一般市民は大迷惑な話です。
しかも、今回は、コロナ感染のさらなる拡大につながるのではと懸念されています。
リプブリカ新聞より
日本大使館からの注意喚起(8日)
1. | 10月8日午後5時現在、ジャカルタ首都特別州でのオムニバス法案に反対するデモは、大統領宮殿(ムルデカ宮殿)周辺、独立記念塔(モナス)周辺だけでなく、サリナ・デパート周辺やホテル・インドネシア前ロータリー周辺にも拡大し、ホテル・インドネシア前ロータリー近くでは、トランス・ジャカルタのバス停が放火される等しています。 |
2. | 今後、デモの地域が更に拡大する可能性もあります。現在混乱が起きていないデモの現場でも、今後混乱が生じる可能性があります。邦人の皆様におかれては、デモに関する最新の情報に注意するとともに、デモが行われている場所やその周囲には近付かないでください。また、デモに遭遇した際には、速やかにその場を離れてください。 |
3. | デモが実施されている周辺道路では交通規制が行われています。周辺地域では交通状況に大きな影響が生じる可能性があります。外出の際にはご注意ください。 |
オムニバス法案がなぜ問題になるのか
そもそも、オムニバス法案とはなにか?
オムニバス法案は、インドネシアへの投資拡大の障害になっていた。1.複雑で時間のかかる官公庁での許認可手続きの簡素化 2.労働者側にあまりにも有利な労働関連法の改定。
これは、長年にわたりインドネシア投資のネックとなっていた問題の解決を目指すもので、外資企業からは投資環境の改善にむけて前進することが期待されている。
昨今、インドネシアの投資対象国としての魅力は、周辺のベトナム、ミャンマー、インド等に比べ、低下してきていいる。
今後の展開を見た場合、中国からのサプライチェーンの移動先としてインドネシアの地位を守るためには、大事な法案だと考えられます。
また、コロナ感染者拡大にともない大きく経済が落ち込む中、経済を再び回復基調に戻すためには、外国からの投資を呼ぶこむしか方法はありません。
なぜ激しい反対運動がおきるのか?
背景には、まず労働組合連合会が動いていると思いますが、すでに、既に、デモの中心は、一般の学生や金目当てのチンピラなどに広がっている。
長年、インドネシアへ進出した日系企業も、過激な労働組合に悩まされてきた。
あまりにも、労働者側に有利な労働法も、20年ほど前労働組合出身の労働大臣の時代に制定されたものです。
労働者の解雇、賃金体系など、労働組合連合会がうしろから圧力をかけ、経営者側不利な状況が続いてきたわけです。
労働組合側の反対理由の主な点は、1.退職金や有給休暇、雇用制度の変更 2.外国人労働者の雇用拡大 3.アウトソーシング分野の拡大等です。
インドネシアの労働法は、世界でも有数の労働者に有利な内容になっている。
また、外国資本の会社でも、外国人の雇用は、厳しく制限されているほか、アウトソーシングの利用できる分野も極めて限定されている。
このまま、労働法の改正が進まなければ、結局は、海外投資が増えないため、雇用が拡大せず、労働者自身に跳ね返ってくのは明らかです。
ジョコウィ大統領は、だんまりを決めている。
オムニバス法案は、国会では可決されており、ジョコウィ大統領の承認待ちですが、今のところ大統領は態度を明らかにしていない。
既に、労働組合連合会の代表や、企業、組合等の代表との意見交換も行っているようですが、最終的な意見表明はない。
今回のオムニバス法では、まだまだ、不十分で、投資の拡大につながらないとの論評も多くみますが。。。
しかし、これまでのインドネシアからすると、かなり、踏み込んだ内容になっていると、私は、評価したいと思います。
菅首相のインドネシア訪問を控えており、ジョコウィ大統領はデモを抑え、日本からのさらなる投資拡大を要請したいところだと思いますが。。。