各種メディア、YouTubeにひっぱりだこのマハーティールさん
2月19日から始まった外出禁止令、4月1日より第2フレーズに入った。2月末の政変で首相を退任したマハーティールさんが、いましばしばマスコミに登場している。
コロナ騒ぎによる国家の非常事態にあって、国民に対し、自宅隔離を耐乏するよう呼び掛けている。現首相より登場回数が多いのではないかと思う。
すでに94歳になられているが、とてもお元気そうです。前首相となったいまでも国民はマハティールさんの動静をとても気にかけており、この非常事態にあたって、マハティールさんに教えを乞いに行っているのだのと思う。
外出禁止にあたっての心構え、過ごし方を得々と語っておられる姿がとても頼もしい。
アジアが誇るスーパーリーダー
1980年~2003年まで22年間にわたり首相をつとめ、ブミプトラ政策、ルックイースト政策など長期にわたり強力なリーダーシップを発揮し、マレーシアを中進国へと押しあげた。まさにマレーシアの国父である。
ルックイースト政策とはまさに日本を見習えという政策であり、今でも日本の政財界にはたくさんのサポーターがいる。
また、2018年には、時の政権が汚職スキャンダルにみまれると、国を憂いて野党連合を指揮し総選挙でマレーシア初の野党による政権交代を実現させた。なんと92歳の年齢で首相に返り咲いた。
しかしながら、今年2月に与党内の内紛により連立政権が解体、残念ながら首相の座を降りてしまった。但し、国民の支持は今でも大きいと思われ、今後もう一度返り咲く可能性もまだまだあるのではと期待している。
マレーシアは建国より、議会制民主主義の国であり、大統領制、軍事政権の多い周辺東南アジアの国とは違い、選挙で多数派を形成しながら22年間も政権を維持した。独裁強権政治に走ることなく、議会制民主主義を守った。
本当に心から尊敬できる政治家である。
長くアジアとかかわってきた私から見て、権力の座への野心よりも、国、国民を想う気持ちの強い、アジアの歴史上稀有な有能なスーパーリーダーのひとりだとと思う。
歯に衣着せぬ物言い
マレーシアに来た頃、マハティールさんがマレー系の集会で演説を行うシーンをテレビでみた。このような政治家の演説をかつて見たことがなかったのとても感動的だった。とにかくマレー系の国民を叱咤していたのである。
マレー系の国民はブミプトラ政策により優遇されてきたが、その地位に甘んじて経済界、ビジネス界でマレー系国民の進出シェアが低いことに対するいら立ちに基づいているらしい。
前列に座っていた偉い人たちがみんな下を向いて、親にしかられている子供みたいで可笑しかった。
でも自分の最大の支持基盤に対して、これだけズバリとものを言う政治家を、私は日本でもインドネシアでもみたことがない。普通政治家は、自分の支持基盤に対しては耳障りのいいことを言うものであり、できない約束をするものだと思ってきた。
それ以来、マハティールさんという政治家の大ファンになった。これまでも有名な政治家だということは知っていたが、今はお世話になっている国のリーダーなので身近で感じるようになった。
たくさんの自伝や著書が出ているので、今はそれを読みこなすことを楽しみにしているところだ。