ふーやんのマレーシア移住日記

インドネシア駐在を中心に30年以上アジア業務に携わってきました。昨年よりマレーシアに移住しています。

日本で働きたい若者たち

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インドネシアの友人から日本への労働者派遣について聞かれた。

近所で、日本の鹿児島に、農業分野の仕事で働きに行く人がいるという噂を聞いたが本当かと、本当であればたくさん働きたい人がいるのでルートを教えてほしいと。

確かに、昨今のコロナ騒ぎで外国人技能実習生は、日本に入れなくなっているはずだ。特に、農業分野は、中国からの人材に頼っていたので、今は、人材は完全に不足しているだろう。

今回のコロナ騒ぎでも明らかになったように、構造的に、これまで日本は食品、農産物の供給を大きく中国に依存してきた。

そればかりか、国内の農業も、実は、外国人労働者に大きく依存しているのだ。

技能実習生のという名のもと、日本は以前から、2年単位で、アジアからの人材を使ってきた。

当初は、製造業分野に限定されていたが、今は、農業、建設も含めてかなりの業種に門戸が開かれてきている。

外国人技能実習生に関する問題に対し、移民問題に発展する日本社会の保守性

 一昨年の外国人技能実習生に関する法改正の際、これは、外国人に対する移民を認めるものだと、マスコミを中心に大反対があったと思う。

日本経済低迷の要因のひとつは、労働者問題だ。日本の経済のけん引役だった製造業は、安い労働者と、拡大する市場を求めて海外移転を余儀なくされてきた。

一方、日本では、若者は、所謂 ”3K→きつい、汚い、危険” な仕事を敬遠する傾向が顕著になっているため、外国人技能実習生という名のもとに、実質的に、外国人労働者により下層労働の部分を補填してきたのだ。

ここマレーシアをみても、3Kに属する分野は、中国、インドネシア、フィリピン、バングラディッシュミャンマー等からの外国人労働者が占めている。

経済が堅調な米国を見ても多くの移民が下層労働を支えているし、中国、インド、インドネシア等経済成長力のある国は、国内の労働者供給力が半端ではない。

従って、日本も好むと好まざるに限らず、外国人労働者の導入は必然の流れであり、労働供給、消費市場の拡大のためには、必ず必要なことだ。

労働者供給側の事情

日本への技能労働者派遣国としては、ベトナム、フィリピン、インドネシアミャンマー等の東南アジアの国である。いづれも一人あたりのGDPが4,000ドルに満たない国々である。

例えば、インドネシアだが、毎年4-5百万人の新規の生産労働人口が増加しており、すべての新規の労働者を吸収するには、毎年約7%のGDPの成長が必要だと言われているが、このところの数年間は、約5%程度の経済成長率となっている。

つまりは、新規労働者供給過多の状況が続いており、必然的に海外へ労働者が流出する構造となっているのだ。

技能実習生という名のもとの労働搾取という批判はあたらない

日本では、技能実習生という制度のもとの労働搾取ではないかという批判をよく聞くがそれはあたらない。

インドネシア国内で大卒でも新卒給与は大体5万円ぐらいであるが、インドネシアから日本への派遣される技能実習生の多くは高卒で、15万円程度の給与は非常に魅力的だ。
寮費、食費等を引いても10万円ぐらい残すことができるので、家族への仕送り、貯蓄にまわしても十分だ。

インドネシアの若者にとって日本での就労経験は非常にメリットがある。まず、①日本語を習得できる。②生産技術、技能を習得できる。一番大きいのは、インドネシア帰国後の就職に非常に有利に働く。

技能実習生派遣に関する問題点

日本国内の各種批判をかわすために、制度そのものが非常にややこしい仕組みになっている。

まず、送り出し側の業者が、日本語研修、渡航費等の名目で約30万円ぐらいの前金を派遣希望者から受領するシステムとなっており、派遣希望者にとって大きな負担となっている。

通常は、親類縁者からお金を借りて、渡航後の給与から返済することになるが、どれでも、実習生として派遣され最低2年間でも日本で働くことができれば、本人とって将来への夢に大きくつながるのだ。

日本の受け入れ側の業者についても、組合組織とする必要があるほか、出資についてもいろいろと制約があるようだ。

日本にとっても、送り出し国にとっても非常に重要な制度

日本が少子高齢化を止められない限り、外国人労働者招請は必須であること、一挙に移民問題まで議論が進めるかどうかは別ににして、真正面からこの問題に取り組まないと、結局は、あちらこちらに落とし穴ができることになる。

特に、直近の問題になっている農業従事者の不足については、日本の存立にかかわる問題であり、日本の農業事業者の方、技能実習として派遣されるアジアの若者にとって十分に使いやすい制度の早急な確立を望みたい。